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1202話

いくら時間を大切にしたとしても、夜の帳は自らの軌道に沿って、静かに世界を包み込む。

夜な夜な外出して遊び歩く若者たちと比べれば、今年すでに八十を超えた燕家の老太爷は、夜の闇が降りるたびに「いつ息絶えて、鶴に乗って西方へ旅立つか分からない」という実感に襲われていた。

金持ちほどケチになり、年を取るほど死を恐れるという言葉がある。

実際、その通りなのだ。

金持ちだからこそ、お金を稼ぐ苦労が分かり、残された時間が少ないと悟った老人だからこそ、この世への未練が強くなる。

夜は陰の時間であり、生命力が最も低下する時でもある。八割以上の老人が夜の眠りの中で息を引き取...