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116話

人気のない戈壁灘で、宋楚詞がラウラを見つけられることを切望していた矢先、一人の女性を目にした。

白い薄絹のドレスを身にまとい、赤い刺繍入りの靴を履いた女性だった。

その女性は、一度も振り返ることなく、足を止めることもなかった。まるで宋楚詞が後ろから付いてきていることに気づいていないかのように、ゆっくりとした足取りで前進し続け、人間離れした気品を漂わせていた。

こんな女性が、なぜ戈壁灘に現れるのだろう?

なぜ赤い刺繍入りの靴を履いているのだろう?

さらに不思議なのは、宋楚詞がどれほど速く追いかけても、散歩している――そう、まさに散歩しているとしか思えないその女性との距離が、まったく縮まら...