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1102話

豊田秀敏の流派は、東洋に点在する大小数十の流派の中で、伊賀などの大流派と比べれば、まったく目立たない存在だった。

しかし、それは王室御用達の流派であり、さらに東洋一の高手である豊田秀敏を輩出したことで、現代において伊賀などの流派を凌駕し、流派の江湖における地位を著しく高めていた。

王室御用達の流派である以上、豊田と王室の関係が親密なのは当然のことで、山原百代に対して負い目を感じている今上の王の意向を汲み、彼女の世話をすることも、豊田秀敏の政治的任務の一つとなっていた。

「彼女は私より九つ上だよ」

山原百代は言った。「私が十二歳の時に彼女と知り合って、今まで十二年の付き合いになる。この間ずっと...