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1021話

一振りの軍刀が、岳婉晨の右脇腹から上へと深々と突き刺さった。

鋭利な軍刀が陳婉約の肺葉を貫いた瞬間、鮮血が「ブシュッ」と噴き出し、漠北北の顔に飛び散った。熱く、目にも痛みを感じ、思わず手を離して目を擦らずにはいられなかった。

鮮血が、いつから硫酸のように漠北北の両目を焼くような痛みを与えるようになったのだろうか。

「くっ、くくく」

邪悪さと満足感に満ちた軽い笑い声が、必死に目を擦って視力を取り戻そうとする漠北北の背後から聞こえてきた。

漠北北は見なくても、その声がもう一人の漠北北だとわかった。

彼女は目が正常で、死神の鎌を手に持ち、刀や銃にも無敵だった時でさえ、あの漠北北を仕留めることができな...