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1020話

七月十一日、陳婉約の誕生日。

昨夜の暴風雨が過ぎ、明月が空に輝き始めた時から、彼女は陸家を出て、この数日間陸寧と共によく訪れていた場所へやって来た。そして河面をじっと見つめながらぼんやりと過ごし、夜が明け、太陽が昇るまでそうしていた。

この季節のカルメン地区は、一年で最も気温が高い時期であった。太陽が顔を出したとたん、大量の水分が蒸発し、湿気を含んだ空気は人を息苦しくさせた。川の中の魚たちさえも耐えられないようで、時折大きく口を開けて水面に飛び出しては、岸辺に女性の姿を見つけると慌てて再び潜っていった。

いつの間にか、河面には薄く黒みを帯びた霧が漂い始めていた。それはまるで姿の定かではな...