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603話

「一時間で描き終わるの?」

「細部だけ残ってる」

「やっぱり二時間かけてほしいわ。細部が一番大事だと思うから」

「お疲れ様」

「見返りは?」

「見返り?」顧西北は微笑んで言った。「前は無料でデッサンを教えるって言ったけど、今はもうここで習ってないから、どう返せばいいか分からないな」

「描き上がった絵をあげようと思ったけど、それも微妙かな。もし旦那さんが僕が描いたデッサン見たら、夫婦喧嘩になるんじゃないかって心配で」

「じゃあこうしよう。僕が描いた君のデッサンは定着スプレーをかけて、額に入れて僕の部屋の壁に飾っておく」

「いつか欲しくなったら、直接取りに来てくれればいい」

「ありがとう、顧先生」...