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1358話

「実は何も持っていかなくても大丈夫なのよ、今のお母さんの状態じゃ、食べることも出来ないし、使うこともできないから……」蒋翠英はそう言いながら、目に涙が浮かんでいた。母親はもう高齢だし、理屈で言えばこのまま旅立ったとしても天寿を全うしたと言えるのだろうが、どんなことがあっても、やはり自分の母親なのだ。子供としては老人がもう少しでも長生きしてほしいと願うものだ。

朝食を済ませると、李羨羨は姑の寝室からバイクを庭の脱穀場まで押し出した。電源を入れて何度もエンジンをかけようとしたが、反応がない。そこで彼女はキックペダルを思い切り踏み込んだが、バイクはまったく音を立てなかった。傍らで見ていた蒋翠英も心...