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1217話

少女は口元を引き締めて微笑んだ。こんなに慌ただしく面接に来る人を見るのは初めてかもしれない。

呉雄峰は申込用紙を手に取って目を通した。氏名、性別、年齢などの項目には次々と記入していったが、後半の身分証明書や卒業証書の欄になると、彼は何も持ってきていなかった。身分証明書の番号は覚えているものの、卒業証書については恥ずかしくて出せるものではなかった。大学の門すら潜ったことがない彼が、何を書けばいいというのか。まさか何々中学と書くわけにもいかない。偽の証明書でも用意しておけばよかったと後悔しながら、顔を上げて美人受付嬢に尋ねた。「卒業証書の件は持ってないんですが、後で記入してもいいですか?」

「...