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9話

女性の寝室で、閻京は銀の針を持つ手が僅かに震えていた。彼は深呼吸を数回し、患者の耳元に身を屈めると、ついに施術を始めた。

梅花毒とは蓄積型の致命的な毒素で、中毒の症状は両耳たぶに梅の花のような痕が現れることだ。この毒を解くには、銀針で人体の翳風穴と聴宮穴を刺激する必要がある。

比較的、聴宮穴はまだ扱いやすい。それは顔面にあり、耳介の前方、下顎骨顆状突起の後ろに位置し、肉眼で容易に確認できる。一方、翳風穴は難易度が高い。耳たぶの後ろの耳根部、側頭骨乳様突起と下顎骨下顎枝後縁の間のくぼみにあり、それを見つけるだけでも容易ではなく、ましてや正確に鍼を打つのはさらに難しい。

しかし今や閻京は弓を...