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656話

この時、その冷たい気配はすぐに厳京の経脈に沿って彼の手のひらに達し、そして男の胸部へと流れ込んだ。

この一筋の冷たい真気はわずかなもので、男の体内に注入されても金蝉蠱毒に感染させるほどではなかった。だからこそ厳京はこのような行動に出たのだ。そうでなければ、彼は自分のために他人の命を危険にさらすようなことはしなかっただろう。

この冷たい真気が男の胸に流れ込むやいなや、瞬時に姿を消した。

それを見た厳京は心の中で狂喜した。なぜなら、これはつまり先ほどの毒気が男の胸にあった黒い気に吞み込まれたということだ!この黒い気こそが金蝉蠱毒の天敵だということを意味していた!

今や厳京は自分の推測が正しかったこ...