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648話

北平。

皇甫謐は手元の書類に目を通していた。陰司殿の設立当初、すべてが一からの出発だった。炎皇の規則を一部踏襲できるとはいえ、陰司殿は炎皇よりも正規かつ高度な組織である。加えて、これは皇甫謐が離たちのために最後にできることでもあった。だからこそ、皇甫謐は特に慎重に、一切の誤りも許さない姿勢で取り組んでいた。

「義父」離がドアをノックし、何か妙な表情で入り口に立っていた。

「十一時過ぎに来るよう言っておいたはずだが」皇甫謐は時計を見るまでもなく、まだ11時までかなりの時間があることを知っていた。

「書類を取りに来たのではありません。倉城が急ぎの用で義父に会いたいと」離は言った。

皇甫謐の...