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620話

その時、厳京たちが苦悩している最中、この一連の出来事の張本人は悠然とお茶を飲みながら、目の前のスクリーンに映る厳京の迷いに満ちた姿を眺めていた。

公儀廃とはそういう男だった。すべてを自分の掌中に収めることを好み、老獪な狐のように獲物を一気に食い殺すことはせず、少しずつ弄び、獲物を半死半生に追い詰めてから、ようやく最後の一撃を与える。

「わからないんですが、あの四つの珠を奪うのが目的なら、なぜ今すぐ行動せず、ゾンビウイルスを撒き散らしているんですか?」上官が傍らに立ち、首を傾げた。

今の公儀廃の急務は四つの珠を手に入れて十三娘を復活させることだったはずだ。だがどう見ても彼は焦る様子もなく、...