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608話

阎京は冷や汗を額から拭い、立ち上がって扉を開けると、空印が慌しい様子で門の外に立っていた。

「阎施主、秦施主、真に申し訳ございません。夜中にお二人を驚かせてしまって。後院の達磨堂から火が出まして、お二人にも消火のご協力をお願いしたいのです」

外では激しい雨が降り続け、雷鳴が轟いていた。阎京と秦哲はもはや眠気など微塵もなかった。

「わかりました、すぐに行きましょう」と阎京が答えた。

そのとき、隣の禅房の扉が開き、白浔が眠そうな目をこすりながら現れた。

「こんな夜中に、何をしているの?」

「達磨堂から火が出たんだ。すぐに消火に行かなきゃ」と阎京が説明した。

白浔は一瞬戸惑った様子で言った。...