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607話

「高僧、そんな冗談は言わないでください」

閻京は不意を突かれ、顔色を少し変えて言った。

空印は平然とした様子で薬炉から薪を取り出しながら言った。

「出家人が嘘を申すことはございませぬ」

「こ、これはいけません。閻京がずっとここに居たら、坊主になってしまいますよ。俗人の閻京には、とても耐えられません」

閻京は慌てて説明した。

空印は薬を注ぎ出し、薬滓を丁寧に包みながら言った。

「閻施主はひとまずお戻りください。貧僧はまず、閻施主のご病気をどう治療すべきか考える必要がございます」

「ええ、わかりました。それでは閻京はこれで」

閻京は立ち上がり、礼儀正しく合掌した。

空印も当然合掌で返し、...