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578話

閻京が定雨珠を取り出した後も、地宮内には何の異変も起こらなかった。閻京はようやく安堵の息を吐いたが、二千年以上も死体の口に含まれていた定雨珠を手に持つと、手の半分が冷たく感じられた。

「珠は手に入れた。まずは外に出てから話そう」と閻京は言った。

この地宮は閻京の想像よりもずっと簡単だった。今や定雨珠を手に入れた閻京は、この場所に一刻も長居したくなかった。彼だけでなく、誰もこんな死気漂う場所に留まりたいとは思わないだろう。

一行が耳室から出ようとした時、ようやく異変に気づいた。

彼らが先ほど入ってきた通路が、完全に消えていたのだ。まるで彼らがこの耳室に突然現れたかのように、目の前には隙間...