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568話

北平大学の歴史学部棟、余醉は自分の専用オフィスで閻京たちを待っていた。軍部から定風珠の研究資料について連絡があった時から、彼は軍部が再び彼を訪ねてくることを予期していたのだ。

案の定、軍部は彼の予想よりも早く現れた。

12時30分頃、閻京たちの車が北平大学に到着し、離が閻京たちを余醉のオフィスへと案内した。ドアが開いた瞬間、閻京たちの目に映ったのは60歳ほどの白髪まじりの髭を蓄えた老人だった。

老人は上等な灰色のスーツを身につけ、きょろきょろと目を動かして一同を観察していた。

「余教授、こちらが閻京です」離は簡単に紹介した。

余醉は生涯を歴史研究に捧げてきた人物で、華夏国内に残るわず...