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558話

人々は互いに顔を見合わせ、足元の揺れはどんどん激しくなっていた。閻京は定風珠を大切そうに手に持ち、表情を少し変えて言った。「まさか地震じゃないだろうな?」

「これは地震じゃない、山が動いているんだ」離は眉をひそめて言った。

「私たちが定風珠を持ち出したことで、何かの仕掛けが作動したのよ。すぐにここから出なきゃ」傾城が言った。

傾城の言葉に皆は我に返った。四方を見回すと、来た道以外に出口はなかった。つまり、元来た道を戻るしか外に出る方法はないのだ。

「走れ!」

誰かが大声で叫び、閻京たちはようやく我に返り、来た方向へと全速力で走り出した。

山全体が激しく揺れ、上から砂や石が次々と落ち...