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466話

「愛するということはこんなにも簡単で、憎むということも、同じく簡単なこと。

けれど結果がどうであれ、傾城にとって、彼女の人生には「恨み」という言葉は永遠に存在しない。彼女の能力をもってすれば、自分の出自を調べることなど朝飯前のことだったが、彼女はそんな気持ちを一度も動かしたことがなかった。過去のことについて、白一鳴がそれを知らせたくないのなら、彼女が知る必要もないのだ。

「白老がいなければ、私はとっくに死んでいたかもしれない。人はいつも間違った感情に執着してしまうものだけど、私は今を生きていれば、それでいいの」と傾城は言った。

世の中にこれほど達観できる人は数少ない。復讐を叫ぶ正義の味方と...