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388話

青海市郊外の古びた酒場の前。

夕方から激しい雨が降り始め、今になってようやく雨脚は弱まったものの、街中には水たまりが広がっていた。郊外に近いこともあり、通りを行く人影はほとんど見かけなくなっていた。

酒場の最後の客がようやく会計を済ませて立ち去ると、店主はひそかにほっと息をついた。この客は最近毎日のようにここに来ては酒を飲み、誰とも言葉を交わさず、酔いつぶれるまで飲んでは帰っていった。今日は雨のせいで客足も少なく、店主としては早めに店を閉めて休みたいと思っていたところだった。

客が会計を済ませると、店主は嬉しそうに玄関の鍵をかけ、自宅へと休みに戻っていった。

酒場を出た客は、雨の中をよ...