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357話

公儀薫は一瞬黙りこんでから、闇京を見つめて言った。「軍部の事となると、私たち公儀家といえども干渉する権限はありません」

軍部の事柄は常に対外的に極秘扱いされている。闇京も北平基地に一時期滞在していたため、軍部の厳重な機密保持については身をもって経験していた。しかし彼はなぜ軍部が突然、自分に協力を持ちかけてきたのか知りたかった。

「公儀さんには本当に何の手立てもないのでしょうか?」闇京は眉をひそめて尋ねた。

離はいつも極めて慎重に行動するため、彼女から軍部に関する情報を探り出すのは不可能だと闇京は承知していた。だが、一筋の望みでもあるなら、それを見逃すつもりはなかった。

「手立てがないわ...