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272話

青海市帝薇ホテル、栄錦の個室内。

「栄さま、楚という方がお会いしたいと仰っています。知り合いだと」部下が入ってきて報告した。

栄錦は手に持っていた茶を置き、「案内しなさい」と言った。

「はい、栄さま」

栄錦の顔にゆっくりと笑みが浮かんだ。待ちに待った相手がようやく現れたのだ。

楚修は案内人に導かれ、栄錦の部屋に入った。

「楚さん、どうぞお座りください」栄錦は言った。

楚修は遠慮せず、歩み寄って腰を下ろし、笑いながら言った。「栄さんのご高名はかねがね伺っております。おそらく栄さんは私のことをご存知でしょうから、遠回しな話はやめておきましょう。今回参りましたのは、栄さんと協力関係を結びたいからです...