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180話

十一年前、公儀薫の人生の転換点だった。

公儀薫がどうやって乗り越えてきたのか、誰も知らない。両親を失った悲しみ、公儀家が所有する会社の危機、すべてが彼女の肩にのしかかった。彼女は家族の他のメンバーのように身を引くことも選べたはずだが、彼女は責任を背負う道を選んだ。

運命は、そこから変わった。

そしてその時から、公儀薫の顔から笑顔が消えた。まるで心を失ったかのように、どんなことも彼女の心に届かなくなった。

「あっ!」公儀季の悲鳴が、皆の思考と視線を引き戻した。

冷血の刀が公儀季の右手の小指と薬指を半分ほど切り落としたのが見えた。切断された指は床に落ち、血が柱のように噴き出していた。

冷血は信じ...