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988話

軽く一口だけ飲み、趙詩雅はグラスを置いて言った。「私、初めてここに来たから、どの料理が美味しいのかわからないわ。あなたはここに詳しいんでしょう?だったらあなたに選んでもらおうかしら」

最初は彼女に料理を選ばせるつもりで、財布が痛む覚悟はしていたのだが、思いがけず彼女が譲ってくれた。せっかく言ってくれたのだから、遠慮するわけにもいかない。あれこれ押し付け合うのは野暮というものだ。店員を呼び、以前食べて美味しかった料理をいくつか注文した。どれも中程度の価格帯のものばかり。仕方ない、今は経済的に余裕がないのだ。

食事をしながら、会話は弾んだ。趙詩雅は今、百人の慈善家を取材する特集記事を作っている...