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985話

時間が足りない毎日だった。日中は会社での企画立案や人事との連絡、夜は家に帰っても設計案に追われる日々。

妻は私が毎晩遅くまで働くのを見て、時々諭してくれるが、私としても打つ手がなく、口先だけで安心させ、結局は自分のやるべきことを続けるしかなかった。やがて妻も諦めたのか、私の生活を支えることに専念してくれるようになった。毎日スープを煮込んでくれては「しっかり栄養をとらないと、体が持たないわよ」と言う。彼女のそんな気遣いは全て心に刻まれている。あまり心配させたくないので「長くは続かないよ、この忙しさを乗り切れば大丈夫だから」と伝えていた。

山を何ヶ所か請け負ったものの、狩猟的な性質を持つこの事...