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949話

「ちっ、あっちからウサギが走っていくのが見えたわ」

矢の先に付いた一筋の血を見て、私は追いかけることをしなかった。子供の頃から村の人々が言っていたように、狩人にとってこれは天命であり、天がその命を取らないのだ。彼女たちに黙るよう言い、私は一人で先へ進んだ。信じられなかったが、この贅沢に育ったウサギが、毎日猟犬と対峙しているウサギより賢いわけがない。

獲物は確かに少なくなかった。今回見つけたのは地面を掘って餌を探しているキジで、鮮やかな色の羽がその特徴だった。こいつは始末しやすい。まずはこれで腕を試すのも悪くない。十メートルほどの距離までゆっくりと近づき、弓に矢をつがえる。キジはまだ気づいてい...