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849話

私と梁玉珍は同時に振り向き、ドア口に立ち尽くす妻の姿を目にした。時間が止まったかのように、辺りは静寂に包まれた。どれくらい経っただろうか、一時間なのか、それともほんの一瞬なのか。突然、強い力が伝わり、私は数歩後ろに押し戻された。

梁玉珍は何かから逃げるように、急いで寝室へ駆け戻った。

私はぼんやりとその場に立ち尽くし、梁玉珍の後ろ姿を見つめ、そして再び玄関に立つ妻の方へ視線を向けた。どうすればいいのか、どう説明すればいいのか分からなかった。妻もまた玄関に立ち、呆然と私を見つめていた。彼女の眼差しが怒りなのか、悲しみなのか、それとも憎しみなのか、言い表せなかった。

私たちはそうして見つめ合...