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814話

私たちはお互いの心臓の鼓動を聞くことができたが、暗黙の了解で一言も発さなかった。相手を邪魔したくなかったのだ。

長い時間が経って、彼女はようやくあの世界から戻ってきた。口元を引き締めながらも、とても幸せそうに、満足げに微笑んでいる。瞳には秋の波が揺れ、その色気はさらに強烈になっていた。もともと人々を魅了する彼女だが、今は欲望の海に沈み、完全にその虜となった妖艶な女性のようだった。

彼女はついに私の首に回していた腕を緩めた。私は彼女の体から滑り落ち、欲望に溺れて抜け出せない彼女を見ながら、あることを思い出して少し疑問に思った。彼女のような経験豊富な女性でさえ欲望の支配から逃れられないのなら、...