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784話

話しかけてくるのを待っていた。少し戸惑いながらも電話を繋いだ私は、運転手の言葉を聞いた途端、緊張感が走った。

この運転手は朝に出発して、新しく開通したばかりの三A景区に向かう予定だった。しかし、バスが街を出たばかりのところで、数人の乗客が不満を抱き始め、状況が険悪になったという。今はバスが街からそう遠くない道路に停車したまま、動けなくなっているらしい。

事情を詳しく聞く前に、すでに苦情の電話が入ってきた。バスがまだ出発しないのか、皆の時間を無駄にしているといった内容だ。とりあえず外の人間にバス内の乗客を落ち着かせるよう指示するしかなかった。

運転手に状況を尋ねると、電話の向こうではかなり...