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745話

しかし、どこか腑に落ちない気がする。普段の陸雲を見ていると頼りなさそうで、いつも女性関係に夢中なのに、本来なら遠慮なく自分の才能を誇示するタイプのはずだ。明らかに実力があるのに、あえて謙虚で、忍耐強く、人前ではいつも無害そうな顔をして、あちこちで友人を作り、私のような一見価値のない人間にも力を貸してくれる。こんな人物が、目的も野心もなく行動するはずがない。

だが今は陸雲のことを考えている場合ではない。彼が助けてくれるのは間違いなく良いことだ。彼に目的があろうとなかろうと、彼の背後にあるバックがある限り、彼を頼りにするのが得策だ。

一同が席に着くと、私はすぐに料理を運ぶよう店員に声をかけた。...