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676話

私たちの関係からすれば、彼女は気づくべきだった。会社での立場が落ちぶれていようと、成功していようと、彼女が本当に入社すれば、同じ待遇を受けられることを。

秘書として長年勤めてきた高珥は当然、気まずい雰囲気にならないよう立ち回る術を心得ていた。すぐに話題を変え、お互いが興味のあることについて語り合った。先ほどの彼女の誘惑的な態度のせいか、あるいはこの場の雰囲気に当てられたのか、いつの間にか私たちはかなりの量を飲んでいた。

誰にも言い切れないだろう、アルコールが本当に良いものなのか、それとも悪いものなのかを。人を酔わせ、自制心を失わせ、普段の自分ではなくなり、通常ならば決して犯さないような過ち...