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617話

しかし今はただ心の中にしまっておくだけだ。豆児を家まで送った。彼女の話では姉妹と一緒にアパートを借りているらしい。彼女は本来なら上がって少し座っていかないかと誘ってきたが、僕は丁重に断った。少し居心地が悪く感じたし、上がってしまえば自分を抑えられなくなって何かが起きてしまうことも心配だった。時間も遅いし、妻が一人で家で待っているから早く帰りたかった。

豆児は僕の気持ちを理解してくれたようで、無理に引き留めることもなく、手を振って別れを告げると一人で階段を上っていった。

帰り道、車のスピードはかなり速かった。家に入ると妻がソファーで待っていて、罪悪感と不安でいっぱいになった。しかし豆児のこと...