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612話

そして、高価格設定であれば利益も上がるはずなのに、今の会社はほぼ収支トントン、時には赤字になることさえある。

この中には何か仕掛けがあるはずだ。彼らの会社がコスト削減に長けているのか、それとも我が社の価格設定に問題があるのか。とりあえずこの疑問は胸にしまっておこう。半日見学して、かなり勉強になったし、翔運がここまでの規模になった理由も理解できた。結局のところ、サービス業というのはサービスそのものが命だ。周りに人がいないのを確認して、こっそりとその本を折りたたみ、ポケットに入れた。時間もちょうどいいので、立ち上がって外に出た。

「部長、ちょっと待ってください」

ドアを出たところで、後ろから声...