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609話

「ふん」と羅秀は口を尖らせて言った。どうやら私のことを誤解していて、少し不機嫌になっているようだ。

「わかったわ。でも私も会社に来たばかりだし、まだ整理できていないことがたくさんあるの。今日はまず会社の様子を見て回って、状況を把握してみたら？」

私は少し困ってしまった。確かに羅姐は数日前に話していたけれど、突然現れた二十歳そこそこの若い娘をどう扱えばいいのか、まだ考えがまとまっていなかった。

「ふふ、私は別に把握する必要なんてないわ。来る前にかなり下調べしてきたもの。それに、私は観光学科の出身なのよ」

羅秀はブランド名も値段も分からない小さなショルダーバッグを揺らしながら言った。これには少し驚...