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554話

しかし今日、彼はついに私に応えてくれた。安心できる眼差しをくれたのだ。

それが盲目的な信頼なのか、それとも天成への愛なのか分からないが、その合図を受けた瞬間、私の心は不思議と落ち着き、甘い感情さえ湧いてきた。その甘さは、彼が私を肖陽に差し出したりしないという確信からだけではなく、出世と妻との間で、彼が私を選んでくれたからでもある。女にとって、江山より美人を愛する男に出会えるのは、ある意味幸せなのかもしれない。彼の目には、あなたが江山よりも大切な存在だと分かるからだ。

天成が見捨てないと分かっていても、彼が部屋を出て行くのを見ると、やはり緊張して怖くなる。彼は私の心の支えであり、今や部屋には...