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544話

心の奥底にあった抵抗は、時間とともに、彼の絶え間ない温もりによって、少しずつ溶けていき、初めて感じた気持ち、私の心の中にいた彼を徐々に取り戻していった。

旅行の最終日、私はおみくじを引きたいと思った。単なる迷信だけではなく、心の安らぎを得たかったからだ。今の私が頼れるものはもう多くはないのだから。

だが天は人の願いを聞き入れず、引いたのは「下下籤」。そこには私には理解できない二行の文字が書かれていた。心の安らぎを求めたのに、こんな結果になるとは。私は途方に暮れ、信じるべきか信じないべきか分からなくなった。

ところが、外にいたおみくじ解説の達人は、「縁結びについては上上籤です」と言うではな...