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543話

「旅行はどのくらい行ってないの?」と彼に尋ねられ、昔のことを思い出した。休暇になると必ず一緒に出かけていたあの日々。短い期間だったけれど、何の心配もない時間は、どこか懐かしく感じる。

彼が突然旅行に行こうと言い出して、私は一瞬だけ迷ったけれど、すぐに喜んで受け入れた。これは彼の罪悪感からの埋め合わせかもしれない。でも確かに、私たちは出かける必要があった。今の疲れ切った心身にも、もう麻痺してしまった神経にも、つかの間の安らぎが必要だった。

言い出したらすぐ行動する彼は、その場で出発しようと言い、私はどこか刺激を感じた。こんな風に自分の生活を気ままに決めるのがどれだけ久しぶりか、もう忘れていた...