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54話

私たちは何が起きているのか分かっていた。恐れ、緊張していたが、この夜の調和に酔いしれ、渇望し、それが私たちを包み込み、永遠に消えないことを願っていた。

私が迷い、葛藤しているとき、隣から小さな啜り泣きが聞こえた。その声は控えめで、必死に抑えようとしていたが、私の耳には雷鳴のように響き、夢の中で眠っていた者を目覚めさせるほどだった。

振り向くと、彼女の目尻から二筋の涙が枕へと落ち、小さな花のような染みを作っていた。大粒の涙が次々と流れ落ち、彼女は苦しそうに泣いていたが、私は慰めの言葉を掛けなかった。

この遅れてきた涙は、彼女をあまりにも長く苦しめてきた。私もまた、長く待ち続けていた。今の私...