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506話

「ロー姐が花畑を指し示した。

牡丹殊絶委春風、露菊蕭疏怨晚叢。何似此花栄艶足、四時常放浅深紅。宋代の韓琦の詩だが、この数行で庭の艶やかな花畑を形容するには、まさにぴったりだ。

バラは秀麗な花容で、色彩鮮やかに月ごとに咲き誇り、花の女王と称えられ、中国十大名花の一つとされている。温和な性格の夢潔がこの花を好むのも、別に不思議ではない。彼女が毎日この庭で忙しく立ち回っていたことを思うと、世の無常を感じずにはいられない。

「こちらがお嬢様が以前お住まいだったお部屋です」

中庭の小さな楼閣に入ると、ロー姐が私をゆっくりと案内した。

見れば、楼閣の中はすべて心を込めて配置されており、木彫りの装飾品もいく...