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407話

少し悲しいことだと思う。大学時代、卒業したばかりの頃は、何も恐れなかった。

社会に出て、会社でわずか数年過ごしただけで、すべての尖った部分が削り取られ、こんなに臆病になってしまった。

高玥についてオフィスに入ると、初めてここに来た時と同じく緊張して、手だけでなく全身が少し震えている。これが下の者が上の者に対して抱く畏怖なのだろう。たとえ心から望んでいなくても、畏れてしまうのだ。

社長はまるで私を待っていたかのようで、余裕綽々とした様子を見ると、さらに緊張が高まる。高玥が私を応接テーブルまで案内すると、社長は彼女に私のためにお茶を淹れるよう指示した。

高玥は留学先でコーヒーに慣れたようだが、この...