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406話

「結局のところ、こういったことは、今まではお偉いさんだけの特権だったんだ。取材があっても、いつも会社のトップが出てくるだけで、下っ端の兵隊が前に出ることなんてなかった。今回の予想外の登場で、皆は驚きと同時に少し希望を抱いたようだ。努力すれば、いつか注目されるチャンスがあるんじゃないかって、勘違いしたんだろう。

でも、この手は確かに効いている。オフィスを出れば、誰に会っても満面の笑みで、頭を下げて熱心に挨拶してくる。まるで長年の親友みたいな親しさだ。

普段から仲のいい同僚たちはもっと大げさで、『有名になったら、出世したら、俺たちのこと忘れないでくれよ』と冗談めかして言ってくる。

正直、その...