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287話

何度来ても、この所謂事務所の建物の下に立つと、まだ少し慣れない気がする。この廃墟のような場所で商売が成り立つはずがなく、依頼人もここに来れば恐らく逃げ出すだろう。韓清霜がこの不快な場所に来るのを避けたくて、何か用事があるとの口実で私を行かせたのではないかとさえ疑っている。

廖雲松の扉を叩いて入ると、強いカビ臭さが鼻を突き、心の準備もなく、思わずむせそうになった。出迎えた若い男は笑顔を振りまきながら、何日も戻ってこなかったせいで部屋がカビ臭くなったと言い訳した。彼とあれこれ言い争う気にもならず、さっさと廖雲松を呼び出すよう促した。

若い男は廖雲松が今写真を現像中だから、少し待ってくれと言う。...