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215話

丸テーブルの周りには六人が座っていた。社長もその中にいて、あとの二人は年次総会で顔を見かけたことがある気がする。おそらく株主だろう。

残りの二人は見知らぬ顔で、今回の提携先かもしれない。

「君が、徐天成だね。こちらへどうぞ」懸命に絞り出した中国語。

話しかけてきたのは会社の社長、イギリス人のホームズだ。自分で中国名を付けて、霍思博と名乗っている。中国語はまあまあ上手いが、外国人の中でもABC音がかなり強く、何とか通じる程度だ。もう六十代半ばで、頭は半分ほど禿げている。彼を見るたびに思うのだ。市場には発毛効果があるという商品がたくさんあるのに、彼はお金に困っているわけでもないのに、なぜ見た目...