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204話

陳淑貞がステージに上がってからというもの、陸雲の視線は彼女から離れることがなかった。私は陸雲のことは気にせず、スマホを取り出して撮影を始めた。司会者は陳淑貞と会話を交わし、少し冗談めかして話した後、曲目を紹介してステージを降りていった。

彼女が歌ったのは、この地方で広く伝わる民謡だった。曲調はいつものように豪快で高らかに、幸せで健やかな生活を讃えるものだった。陳淑貞の歌声を生で聴くのは初めてだったが、その声は澄み切って軽やかで、余韻が長く続き、森の中のヒバリのようだった。

テレビで見るよりもずっと心に響き、まるで貫通力があるかのように、彼女の歌声に込められた喜びや幸福が伝わってきて、思わず...