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1781話

息も切れんばかりに遠くまで逃げた。

妻の実家から、都会から逃げ出し、人気のない片隅で、静かに自分の傷を舐めていた。

どれだけの時間をぼんやりと過ごしたのか覚えていない。少し意識が戻った時、妻のことが心配になり始めた。彼女は私から離れ、一人で外にいて、上手くやっているのだろうか。騙される事はないだろうか、誰かに騙されていないだろうか。彼女も同じように私を思い、同じように苦しんでいるのだろうか。彼女は苦しんでいるのか?答えは間違いなく「はい」だ。

だが今の私には、彼女をどう慰めればいいのか、どう世話をすればいいのかもわからない。家を出る時、何も持たずに一人で出て行った姿を思い浮かべると、恐ろしくな...