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1779話

変わることはなく、ただ自分のペースで進むだけなのだ。

数時間後、車はついに妻の実家の前に戻ってきた。本当に疲れ果てていたのか、それともここ数日ろくに休めていなかったからなのか、彼女はぐっすりと眠り、目覚める気配はまったくなかった。

人も物事も、失いかけた時になって初めて、その大切さに気づくものだ。今この瞬間、彼女の寝顔を見ているだけで満たされる気持ち、それが贅沢なことのように思え、こんな時間でさえ尊いと感じた。

エンジンを切り、車内灯を暗くして、そっと彼女の隣に横たわったまま、彼女の寝息を聞きながら眠る姿を見つめていた。この瞬間、世界の何もかもがどうでもよくなった。もし次の瞬間に死ぬとし...