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1761話

しかし、それはただの私の幻想に過ぎなかった。何周走ったのか、どれくらいの時間が経ったのかも分からないまま、疲労困憊するまで走り回っても、妻は私の前に現れなかった。心の中では既に分かっていたのだ。ただ認めたくなかっただけで、最終的に足は寝室で止まった。

力なく床に戻り、死んだように横たわる。布団からは彼女の馴染みの香りがまだした。目を閉じれば、まるで彼女がまだ穏やかに隣に横たわっているかのようだ。だが今の私は冴えている。これがすべて幻想に過ぎないことを理解していた。苦しみながら彼女の枕を抱きしめると、不意に一枚の紙切れに触れた。

瞬時に目を見開き、体を起こして紙を手に取る。妻からの置き手紙だ...