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1720話

「うるさい、そうでなきゃ兄弟の刃が目を持たないことを後悔するぞ」

首筋に冷たい感触が走った。この感覚は見覚えがある。そして声から察するに、相手は冗談を言っているようには思えない。大人しく口を閉じた。

最初は心に不安がよぎったが、次第に冷静さを取り戻した。車体の振動から、車が道路を疾走しているのが感じ取れる。まず最初に頭に浮かんだのは誘拐されたということ。数日前の廖雲松の言葉と照らし合わせれば、誰がやったのかもすぐに見当がついた。

今急務なのは脱出方法を考えること。自分の命に本当の危険はないかもしれないが、承夢は危険だ。誘拐された場所は繁華街だったが、ちょうど自分の車とこのワゴン車に挟まれ...