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1677話

私は立ち上がって彼女の方へ歩み寄り、手を差し出した。彼女は訝しげに尋ねてきたが、私は説明せずに手を差し出し続けた。彼女はやがて細い指を私の手に重ねた。

彼女の腕を取り、横へと歩き始める。裏庭は一続きの芝生で、家全体を取り囲んでいた。左側にはプール、右側には午後にお茶を飲んだり日光浴をしたりする庭園がある。プールの方へ向かっていることは分かっていたが、妻は私が何をしようとしているのか知らなかった。

しかし、プールに浮かぶ花びらや、地面にバラの花びらで作られたハート型の上に敷かれたガチョウの羽毛の毛布を見て、妻はすぐに理解した。彼女が振り向いて私を見ると、その瞳には抑えきれない喜びが浮かんでい...