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1660話

再び沈黙が訪れた。沐心如が決断に迷っていることは分かっていた。だが、彼女の葛藤が長引けば長引くほど、私の不安は募っていく。事実が受け入れられないものだったらと思うと怖かった。部屋の空気がゆっくりと凝固し、息苦しくなってきた頃、彼女が突然口を開いた。

「彼と話がしたい」

少し落胆したが、理解できた。どこか安堵もした。何にせよ、彼女の気持ちに揺らぎが生じたのだから。私は頷いて言った。

「わかった。彼を呼んでくる」

そう言って立ち上がり、部屋を後にした。

大広間に着くと、全員の視線が一斉に集まった。周倉が急いで尋ねてきた。

「どうだった?」

「彼女が中に入ってほしいって。話があるんだって」

「そう...