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1644話

店内はわずか百平方メートルにも満たないのに、なんと十五、六人もの制服姿で小さなスカーフを巻いた店員が配置され、一人ずつがそれぞれのショーケースを担当していた。

今は店内にかなりの客がいる中、妻の後ろについて中央のショーケースに歩み寄り、ブレスレット、ペンダント、ネックレス、指輪などを眺めた。

さっと流し見るように見ていると、妻はずっと足を止める様子がなかったので、私から「何か気に入ったものはある?」と声をかけた。

妻は笑いながら首を振った。

「あのルビーのネックレスはどう?」あるショーケースを通りかかった時、私は指さして言った。

店員は熱心に頷きながら挨拶し、すぐにショーケースからネック...